大阪梅田のパブリックスペースが変化!万博に向けて、阪急阪神とJRが共に創るキタの文化

2025年の大阪・関西万博に向けて大きく変わろうとしている大阪のキタエリア。 新しく生まれる施設もあれば、古くから愛されるお店もある大阪梅田周辺は活気を増すばかり。 関西一のターミナル駅のある街として、どのような文化を守り、これからさらに発展させていこうと考えているのか、阪急阪神不動産株式会社とJR西日本SC開発株式会社の担当者に、街づくりや地域共生の観点でお話を伺いました。

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明治7年に日本で2番目の鉄道として、日本国有鉄道が大阪駅を開業してから150年。当時は田園地帯だった大阪梅田エリアは今やJR西日本、Osaka Metro、阪急電車、阪神電車が通る巨大ターミナル駅へと成長しました。大阪梅田駅/大阪駅周辺では複数の工事が行われ、常に街の風景が変化しています。そんな大阪梅田駅/大阪駅周辺には人々が集える開放的な空間がいくつもあるのをご存知ですか?

今回は、阪急阪神不動産 とJRの担当者と駅周辺のパブリックスペースを歩きつつ、大阪梅田の残したい文化や人とのつながり、変化し続ける大阪梅田エリアのこれからについて、熱い想いを語ってもらいました。

阪急阪神不動産株式会社 都市マネジメント事業部 都市マネジメント・うめきた事業グループ

皆川ゆり

2018年、阪急阪神ホールディングスに入社。入社後4年間は、阪急阪神不動産開発推進部にて、阪神沿線の商業開発・まちづくり業務に従事。2022年から現部署で、大阪梅田エリアのエリアマネジメントに関する取組みや、将来ビジョンの策定・推進などを担当。 万博に関しては、2023年7月に「EXPO酒場 大阪梅田店」、万博開幕1年前の2024年4月13日には特別ルートで運行する「EXPO TRAIN 阪急号」を企画・実施。

JR西日本SC開発株式会社 カンパニー統括本部 経営戦略室長 サステナビリティデザインチーム

出口清史

JR西日本グループで百貨店バイヤーやショッピングセンター事業の経営戦略に従事。 JR西日本グループのパーパス「私たちの志」の策定にも携わり、サステナビリティ経営の実現をめざして、デザイン思考で地域共生・地球環境・人的資本経営などに取り組む。 (ショッピングセンター事業における大阪・関西万博担当)

笑顔で人が集まる街づくりを。駅すぐの広場でホッと一息

まずは大阪梅田の街歩きからスタート。大阪梅田駅/大阪駅から歩いてすぐの便利な場所にある、地元の方や観光客の方がくつろげる2か所について、皆川さんと出口さんに紹介してもらいました。

赤い梅田イスのあるところ 阪急サン広場

阪急サン広場は、阪急うめだ本店とHEP FIVEの間にある広場空間です。観光客が写真をよく撮っている赤い色が目を引く「梅田」のモニュメントは、「田」の部分がベンチになっていて、休憩する人の姿が見られます。梅田イスはイベントに合わせて様々な色に変わることも。マルシェなどのイベントも行われる、アクセス抜群の大阪梅田有数の広場です。

皆川

都会の中のポケットパークのような空間になっており、観光客の方が楽しそうに写真を撮っておしゃべりしたり、茶屋町エリアに向かう若者やオフィスワーカーが一息ついて休憩している様子をよく目にします。難波のグリコの看板のように、梅田といえばここ! という象徴的な場所になってほしいと思っています。

目印は大きな金時計と銀時計 時空の広場

大阪ステーションシティの5階にある開放的な空間。高さ9mの金時計と7.6mの金時計と銀時計は、大阪駅の象徴として堂々と佇んでいます。イベントに合わせてクリスマスツリーに装飾されたりと姿を変えることも。定期的に人工芝が一面に敷きつめられ、寝そべったり、おしゃべりに花を咲かせたり、テレワークをしたりと、それぞれの時間を過ごす人々で賑わいます。

出口

大阪駅の線路上空にありながらゆったりと落ち着いた時間が流れているので、私も仕事や買い物に疲れた時の気分転換に利用します。グループ会社が定期的に開催している一面に人工芝を敷きつめる「GREEN STATION PARK」は毎回たくさんの方に楽しんでいただいており、ターミナル駅周辺も商業的な要素ではない別の要素が求められていたんだなとあらためて再認識させられます。

おいしいご飯と豊かな緑で心身の栄養チャージ 話題の最新施設へGO!

日々進化を遂げている大阪梅田エリアは、2025年の万博に向けて新しい施設が続々とオープンしている真っ最中。メディアやSNSでよく見るあの場所を紹介してもらいました。

おっさんが気軽に飲みに行ける場所 バルチカ03

食通で知られる開発責任者が選び抜いた店が集まる飲食店街。今年7月にオープンしたJR大阪駅直結のビル「イノゲート大阪」の2階から5階に約50店舗が入っていて、03(おっさん)の名の通り、梅田で働くサラリーマンをターゲットにしています。

出口

このプロジェクトは大規模開発が進むエリアで、働くおっさんが気軽に飲みに行く場所が少なくなってきている危機感や市場性も感じていた開発責任者の熱量で進めていきました。その熱量に惚れ込んだ名店の皆様に出店いただき、人手不足の対応として営業時間の自由化というアイデアもあり、働くおっさんの憩いの場が実現しました。名前は03(おっさん)ですが、もちろん若い女性や観光客も大歓迎!

緑豊かな都会のオアシス グラングリーン大阪

今年9月に先行まちびらきを迎えたグラングリーン大阪には、大規模ターミナル駅直結としては世界最大規模の都市公園を整備。芝生や噴水でくつろげる、大阪梅田の新たな憩いの場になりそうです。2027年に全面開業を予定していて、2025年春オープンの南館には、飲食物販店の他に温泉やホテルも入るそう。大きな屋根が迫力のある全天候型イベントスペース「ロートハートスクエアうめきた」では、音楽イベントや飲食イベントなどが開催されます。

皆川

大阪は緑が少ないと言われていましたが、都心にいながら自然を感じていただける空間が誕生しました!敷地の約半分が緑に囲まれていて、視界一面に広がる雄大な芝生広場は特に開放的な気分にさせてくれます。芝生に座って会話に花を咲かせる大人や噴水で水遊びを楽しむ子どもの姿に、その場にいるだけで心がほぐれるのは私だけではないはずです。買い物の合間にぜひ立ち寄ってください。

噴水で水遊びをする子どもたち
噴水で水遊びをする子どもたち

昼働いて、夜飲みへ。再開発で活気づく大阪梅田に、パブリックスペースを活用して情緒的な付加価値を!

皆川さんと出口さんが思い描く大阪梅田の姿とは――。万博に合わせて変わっていく大阪梅田の残したい文化、付加価値について、とことん語ってもらいました。

万博を機につながりを深めて、大阪梅田の新たな文化を

出口

あらためて、よろしくお願いします。皆川さんとお仕事をするのは、今回が初めてですね。

皆川

よろしくお願いします。出口さんとご一緒するのは初めてですが、阪急阪神とJRはこれまでも色々と活動を共にしていますよね。

出口

メディアでは”VS”構造であおられることも多いですが(笑)実際は全くそんなことはないですよね。昔はマーケットの取り合いをしていた時期もあったのかもしれませんが、人口減少や少子高齢化に対応するために今は協力して共創していかないといけない意識がお互いに強いように思います。

皆川

特に、2009年に梅田地区エリアマネジメント実践連絡会※が発足してから、結束がさらに強くなったのではないでしょうか。

出口

近年は万博をきっかけに、より一層絆が深まっていますね。2025年に向けてつながりが生まれ、関係性も強くなっている。アイデアを思いついたら社内外問わずに「あの人に相談してみよう!」と言える相手が増えたことは喜ばしいことです。

※梅田地区エリアマネジメント実践連絡会:西日本旅客鉄道、阪急電鉄、阪神電気鉄道、グランフロント大阪TMO、Osaka Metroの5社により梅田地区におけるエリアマネジメントを展開。梅田地区の持続的な発展をめざし、様々な側面からのエリアマネジメント活動を先行的・実験的に実践することで、大阪梅田地区の更なる魅力の向上を図っている。

古き良きサラリーマン文化を守りたい!今の梅田に足りないものは”情緒的価値”

皆川

大阪梅田は、西日本最大の交通拠点であり、様々な機能が集積する都市としてのポテンシャルも高い街です。とても機能的な街だとは思うのですが、それが文化に結びついていないのが課題なのかな、と感じていて。

出口

僕も同じ意見です。もっと情緒的価値を作っていきたいですよね。梅田は経済成長をし続けていますが、それ故に地価も上昇し、このエリアで活動できる事業者も限られてきてさらに同質化が進んでいます。訪れてもただ買い物をしてお茶をするだけで思い出に残りにくくなってしまうんじゃないかと。だからパブリックスペースの必要性も感じますし、ただ開かれた公共空間だけではなく地域の人たちの顔が見えるコモンスペースの考え方を取り入れる事も大事ですよね。

皆川

そのお話を聞いて、先程訪れたバルチカ03を思い浮かべました。

出口

バルチカ03もそのようになっていけば嬉しいです。もともと埋立地のこのエリアは鉄道とともにオフィス街として発展してきた街です。大先輩たちが日中一生懸命働いて、仕事終わりにそれぞれの憩いの場で楽しんだのがキタの文化の一つかと。また近年ではマンションもできて地域住民の方が増えました。グラングリーン大阪の公園で親子が遊ぶ姿も、新しい文化ですよね。これからも新しいアイデアも加えながらパブリックスペースを残していって、街を訪れた人にも地域の人たちの顔が見える文化度の高い場で楽しんでいただきたいと思います。

出口

大阪で万博が開催されるのは2回目です。1970年に開催された日本万国博覧会の閉幕後に、日本国有鉄道(国鉄)が「ディスカバー・ジャパン」という個人旅行の促進キャンペーンを行い、旅行客が増えました。今回の万博でも、同じような文化度の高い企画ができないかと考えています。

皆川

出口さんの持っているディスカバー・ジャパンの図録を見せてもらいましたが、当時のポスターやパンフレットには、現代でも色褪せない魅力がありますよね。

出口

今でいう「エモい」魅力がありますよね。今の大阪梅田には、エモさも足りないと感じています。流行を追うだけではなく、どこか懐かしさを感じさせるような、そんな仕掛けもしていきたくて。そのためにも、もっと地域のお店やクリエイターの良さを伝えられるイベントを展開していきたいです。

皆川

大阪梅田の街と文化を盛り上げるために、一緒に企画していきましょう!

大阪・関西万博にかけるそれぞれの思い

出口

10月13日に、阪急電鉄、阪神電気鉄道とJRから構成される一般社団法人大阪梅田エリアマネジメントではJR大阪駅前南側の歩道で万博開幕半年前イベント「EXPO OPEN STREET」を企画しています。その中で観光案内や悩み相談ができるスナック屋台を開く予定です。スナック屋台は「いつかやりたい!」と温めていた企画で、大阪梅田の情緒的価値を高めるきっかけになるのではと考えています。 万博と聞くと最新技術や新商品を思い浮かべがちですが、地域の文化を見直したり価値に気づくきっかけでもあると思っていて。経済発展だけではなく、人間関係や文化を残すことにも重きをおいて、万博を盛り上げていきたいです。

皆川

出口さんもそうですが、万博がきっかけでいろんな人たちと出会うことができた感覚があって。これまでにない垣根を越えた様々な共創が生まれていることが嬉しいです。人と人とのつながりは、万博が終わった後も続くもの。万博がきっかけで生まれたご縁を育て、たくさんのことにチャレンジし、万博終了後も大阪梅田の文化として根付かせていけるよう尽力したいと思います。

大阪・関西万博まで、あと半年!JR大阪駅前で開幕前イベント「EXPO OPEN STREET」を10月13日に開催!

大阪・関西万博の機運醸成イベント「EXPO OPEN STREET」を10月13日(日)13:00~22:00に、JR大阪駅前南側の歩道空間にて開催!半年後に控える大阪・関西万博に向けて、大阪のまちや文化の面白さを、人・エンタメ・音楽が楽しめるスペースづくりを通して発信するとともに、国内外からのお客様を迎え入れる姿勢と、未来へひらく想いを込めたイベントです。

テープカットセレモニーには、ミャクミャクや大阪商工会議所 会頭 鳥井信吾さんが登場します。さらに、梅田サイファーやラッキーセベンなど大阪のストリートで活躍してきたアーティストがパフォーマンスを実施予定。夜には万博会期中に夜の大阪の街を楽しんでもらうための構想「夜のパビリオン」に向けた実証実験「スナック横丁」も開催!
詳細はこちら!

取材・文:尾西美菜子
編集:南歩実
写真:前田和泉
企画・編集:人間編集部

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